Fat Tuesday Air Line
Gospel Music
You Go Your Way
/Chemistry





 今回はちょっと番外編。
みなさまご存知、ケミストリー。黒い音楽の仕掛け人・KC松尾のプロデュースで、一躍トップアーティストに上り詰めた人気デュオだ。彼らはいくつかのシングルで、クワイアのハーモニーを取り入れたゴスペルバージョンにトライしている。そのひとつがコレ。

この曲は、彼らの3rdシングル。出会った当時の情熱は失ったけれど、キライで別れるわけじゃない、僕は僕の道へ、キミはキミの道へ歩いていこう・・・というちょっとオトナな別れの歌だ。
ふたりの甘い声が、お互いを思いやる愛情みたいなもんをたっぷり感じさせて、とてもいい感じ。
ちょっとセンチなメロディも、ぐっとくる。

そんなスローバラードのラブソングを、ゴスペルバージョンに仕立てたのが3曲目の
「a CHEMISTRY joint ,You Go Your Way(Acaprrella Mix)〜CHEMISTRY featuring ARC Gospel Choir」。
ARCとは、NYはハーレムにある麻薬中毒患者更正施設のこと。
現在そこでリハビリを行っている人や更正した人、スタッフなどが集まって作られたARC Gospel Choirが、アカペラでケミのふたりをささえ、独特のうねりを放っている。
ボイスパーカッションとハーモニー。そう、楽器は自分たちの声だけだ。
その荒削りなクワイアの歌声に重なる、ケミストリーの声。クワイアひとりひとりの息づかいと人生みたいなものが感じられて、ケミのふたりの甘い声とのコントラストがすごくいい! 

最初はサポートに徹していたクワイアも、ラストへ向かうほどに彼らの独壇場と化していく。
手拍子とともに、You Go Your Way〜と歌いだすと、空気がボンと膨らむ。
そしてソリストが「Yes ! I Will!」と叫びながら、クワイアとひとつになっていくあの高揚感は、まさにゴスペルの真骨頂! そうそう、そうこなくっちゃ!といった感じだ。

ARCのクワイアメンバーの中には、今もまだ麻薬の誘惑と闘っている人がいる。
その苦しみを乗り越えたサバイバーもいる。
迷いや誘惑、絶望から彼らを救い、自分を取り戻させてくれた方法が、
ほかならぬゴスペルだったという事実。
やっぱりゴスペルには、人間が生きるうえで必要な大きな底力があるのだ!

クワイアがラストで何度も何度も歌う歌詞、
You go your way , I go my way!
あなたはあなたの道を、私は私の道を!

自分を取り戻すためにゴスペルを歌い、自分の道を歩き始めようとしている、
そんな彼らが語るにふさわしい、重みのある言葉だと思う。

PS.そんな彼らがこのたび初来日。12/15にアルバム「The ARC Gospel Choir 〜thank You Load」も発売される。NYで見た彼らの姿には、とても凄みがあった。
真剣に生きようとする人間の。